フィリピンでは協議離婚ができないのをご存知でしょうか?
それどころか離婚という制度自体がそもそもないのです。
先日フィリピンに親子留学に行ったときに、先生にこの話を聞いてとても驚きました。
「フィリピンで離婚するのはとても難しい、というか法律上できないんだよ。」
シングルマザーの私は耳を疑いました。
じゃあフィリピン人が結婚相手と離婚したくなったらどうすればいいのか?
今回この件について気になったので自分でも調べてみました。
目次
世界で離婚制度がない国は?
離婚制度がないなんて、そんな国あるの!?と思いますよね。
世界ではバチカン市国とフィリピンだけです。
ヨーロッパのマルタ共和国も以前は離婚が認められていませんでしたが、2011年の国民投票の結果により、離婚が合法化されました。
なぜ協議離婚が認められていないのか?
理由は宗教上の理由からです。
フィリピンもバチカン市国もカトリック教の国であり、教義上、離婚は許されていません。
カトリック教の国は世界にたくさんありますが、この二か国ではその教えを徹底しています。
神の前で一生添い遂げることを誓ったのだから、それを破るなんてご法度!というところでしょうか。
フィリピン人がフィリピンで離婚したい場合は?
離婚制度がないので離婚はできませんが、下記制度によって婚姻を無効にしたり解除するという方法はあります。
裁判による婚姻の無効「ディクラレイト」
未成年同士や近親者同士の結婚など、元々無効な婚姻の条件に当てはまる場合は、裁判所へ申し立てれば婚姻自体をなかったことにできます。
裁判による婚姻の解除「アナルメント」
相手が精神異常者の場合や詐欺による婚姻など、一定の条件をクリアすれば婚姻の解除が認められるという制度です。
しかし高額な費用がかかったり弁護士探しが難しかったりと、条件がかなり厳しいので実際には難しいとのこと。
期間も数年を要し、お金も時間もかかるので一般的ではありません。
離婚承認裁判「リーガルセパレーション」
配偶者に浮気や精神障害、収入面などで相当な理由がある場合、お互いの合意があれば、裁判を起こして法的に別居できるという制度です。
この場合も離婚ではないので法的には婚姻中のままです。
よって別居後に再婚はできませんが、事実婚状態は可能です。
何もせず別居する人も
実際フィリピン人はこのような手続きのことを気にしていない人も多くいるようで、婚姻中のまま別居→新しいパートナーが見つかったら事実婚状態、という人もいます。
配偶者が亡くなったり、外国人と離婚した場合は婚姻は解消されるので、再婚可能になります。
日本人がフィリピン人との結婚を考える場合、実は相手がフィリピンでの法律上婚姻中だった、というケースも実際にあるので、重婚にならないように注意が必要です。
フィリピンにもシングルマザーは多い
フィリピンに離婚制度がないということは、シングルマザーもそれほど多くないのではないか?と思いますよね。
そう思って語学学校の先生に聞くと、そうではありませんでした。
フィリピンでは若くに出産して父親に逃げられ、そのまま未婚の母として子どもを育てていくシングルマザーが多いとのことで、社会問題だと言っていました。
これも宗教上の理由が関係しているそうです。
さいごに
以上、フィリピンでの離婚事情でした。
日本では考えられない離婚の制度ですが、国が違えど文化も違うのですね。
いち離婚経験者からすると、こんな国ではとてもじゃないけど結婚できない(^_^;)
だって結婚してみて相手の初めて見える部分なんてたくさんありますし、結婚相手と一生添い遂げられるかどうかなんて先のことわからない。いわば賭けみたいなものですよね。
日本の宗教色がそこまで強くなくてよかったです。
日本は仏教の国かと思いきやクリスマスも祝うしチャペルで結婚式も挙げるし、世界からはどう見えているんだろう。
話はそれましたが日本が協議離婚できる国でよかったと思いました。
実際離婚するとなればかなり大変ですが、離婚の手続きだけに関して言えば、お互い合意の上で役所に離婚届けを提出すれば離婚成立です。
フィリピンでもパートナーに悩んでいる人は少なからずいると思うので、いずれはちゃんとした離婚制度ができることを願っています。